幸せになる為には、自覚的に生きている人をより多く知るという事が重要になってきます。
このシリーズでは、そのような自覚的に生きている人たちをご紹介します。
「成功するにはこれをしろ」とか「これをやれば悩みが消える」というような話は腐る程ありますが、石井さんの話は方法論ではありません。
もちろん具体的な方法にも触れてはいますが、彼がテーマにしているのは「なぜそれをやるのか?」という根本的な話です。
更には、どうして挫折するのか?というメカニズムまで教えてくれています。
ご自身も言っていますが、石井さんのセラピーは「ちょっと疑い深い人」向けです。
世の中には「これが良いんだよ」と言われたら、素直にただ実行する人がいます。
その一方で「何故これが良いんだ?」という理屈が納得できなければ、決して実行しない人もいますよね。
石井さんは、後者のタイプにピッタリのセラピーなんです。
石井さんの本を読めば、潜在意識のしくみが かなり分かりやすく説明されています。
彼の著書をちゃんと理解して実行すれば、一人でも願望達成する事は可能だと思うくらい、手の内を明かしてくれていると思います。
ただ、なかなか一人では続かなかったり、不安だったりする事があるので、セラピストが必要になるというだけの話かも知れません。
ニセ占い師の手口が暴露された!
今回ご紹介するのは、セラピストの石井裕之(いしい・ひろゆき)さんです。
ニセ占い師などによって悪用されてきた「コールドリーディング」というテクニックを、人との信頼関係を築くためのツールとして使う方法を紹介してきた人です。
テレビでもメンタリストとして登場していた時期があるので、ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんね。
私がテレビで見た時は、芸能人とかが石井さんに面白いように操られていて「怖いなぁ」という印象でしたが、著作を読むとそれ以上に「そうなってしまう」種明かしの話が面白かったのです。
脳の構造がだんだん分かってきた今、潜在意識の領域まで考慮に入れない方法は無駄だという事がよくわかります。
いまやセラピーや自己啓発の類というのはほとんど飽和状態で、何を信じていいのか分からないような状態ですよね。
そこで石井さんのセラピーがどういうものなのか、その特徴をまとめてみました。
自分をコントロールしているという「思い込み」
石井さんの話には、一貫して「潜在意識」という話が出てきます。
というのは、ここを無視しては何も達成できないからです。
それだけ人間というのは“無意識”の力が絶大な生き物なのです。
ふだん自分の意思で行動していると思っているのは、ほんの「外側」の話だけのようです。
ところが世の中には恐るべきツワモノがいて、人間の「潜在意識」の習性を研究していて、それを上手に操ってくる輩がいます。
自分では全く意識しない所で、心のボタンを押されまくっているのです。
自分ですら制御できない大切な潜在意識を、他人に操られていいものでしょうか?
自分の事は、自分で手綱を握っていたいものですよね。
石井さんは、そこの部分を研究していて、その知識を悪用しないで(笑)セラピーを行っているわけです。
それでは彼の著作の中から、どういった内容なのかが分かるような話を少しご紹介したいと思います。
どんな感動も決意も続かない理由
感動的な映画を観たり、本を読んで目から鱗が落ちるような知識を得たのに、何も変わらない自分に嫌気がさす事があります。
どんなに素晴らしい感動や知恵を得ても その場限りの事なら、面白おかしいエンタメと対して変わりはありませんよね。
ところが感動や知識を持続できないのには、れっきとした原因があったのです。
それは、映画や本から得られた感動というのは「単なる情報だ」という理由です。
どうやら人間の脳というのは、どんなに感動的であろうと、情報として得た事というのは忘れてしまう生き物のようです。
ところが、毎日自分が取っている「行動」というのは不動のもので、確実に「実」になっていくものなのです。
何が違うのかというと、それは“相手から与えられたもの”と“自分から能動的に発したもの”との違いです。
よく良い話を聞いて「元気をもらった」とか言いますよね。
それは、相手の元気を受け取ったに過ぎないので、やがては消えてしまいます。
ところが、元気を与えた相手というのは「元気」という実体を持っているのです。
では、誰かにもらった感動や知恵を持ち続ける事が不可能なのでしょうか?
それには、ちゃんと方法があります。
ただ「受け取った」という次元から「発するという行為」へ変換する事です。
例えば「感謝の気持ち」です。
感謝というのは、心の中で“有難う”と思っただけではバーチャルなものです。
でも、何かしらの行動を示す事で現実化しますよね。
例えば、何か良いサービスを受けて感謝の気持ちが芽生えた時、会社宛てにお礼のハガキを出したりすれば、サービスを提供した人や会社の人に伝わりますよね。
就職したての人が初給料で親にプレゼントをしたら、親は自分の子が自分で稼いだお金でプレゼントが出来るようになったのだな、と痛感してくれると思います。
こんな風に、現実社会では“頭で念じた事”は泡のように消えてしまいますが、行動は小さな歴史を生み、その後の経過を少しづつ変えていきます。
だいぶ昔のドラマで、田村正和さんが言った「愛情は育てなければ死んでしまう」というセリフが印象的でした。
恋愛の賞味期限は3年くらいだと言われていますが、恋愛の情熱さえ時と共に冷めていきます。
男女の関係が続くか続かないかも、熱の温度の差ではなく、結局はお互いの日々の行動が決定してしていくものですよね。
だから、何か感動して「これからはこうしたい!」と思ったときに大切なのは、どうやってそれを行動に落とし込むかに懸かっているのです。
魔のループ活動
もうひとつ、過去の自分が可愛そうになるようで心に焼き付いてしまった話をご紹介します。
それだけに、上手に利用さえすれば辛い状態から浮上できる絶好のツールになると思います。
潜在意識というのは思ったより執念深いもので、一度こころに疑問を発してしまうと、自分が納得するまで検索エンジンが回り続けるというしくみがあるそうです。
意識下では「もうその話題はおしまい」としているのに、潜在意識ではハードディスクがずっと稼働したままなのです。
何か ふとした瞬間に、むかし発した疑問がよぎったりする事ってありますよね。
あれが そうです。
ところが、その疑問が決して答の出ない漠然としたものだったらどうでしょうか?
決して自分の納得の行く答など望めそうにありませんよね。
すると、その曖昧な疑問は潜在意識の中で永遠に稼働し続けるのです。
意識でストップ出来ないのだから、質が悪いですよね。
その質の悪い疑問がどんどん蓄積して行く事で、自分の知らない所でヘトヘトに疲弊してしまうのです。
こうなってしまうと“やる気を出す”どころの騒ぎではありません。
これは、かなり恐ろしい話でした。
原因不明の疲労は、完全に意識外での無駄な労働のせいだったわけです。
でも、この現象にも対策はあります。
それは「正しい疑問を発する事」です。
何か問題が起こったとき「どうして自分はダメなんだろう」という疑問から「何だったら出来るだろうか?」という疑問に変えるのです。
それなら何かしら答が出て来そうですよね。
もし答がイケてなかったとしても、試してみて失敗すれば、それは一つの経験になるので無駄ではありません。
大切なのは効果が見込めるか?という事よりも、不毛な無限ループから抜け出す事だったのです。