少子化が進み、日本にもだんだんと移民が増えているのは、街の情景だけ見てもよくわかります
(私の身の回りでも外国人が増えて来ているのを肌で感じます)。
自分のアイデンティは守りつつ、多様な価値観も理解できるように視野を拡げるには、
多様な人々が混在するアメリカというモデルを見ておくのも良いかもしれません。
とはいえ単一民族で共通の価値観の元にまとまった日本人にとって、
改めてアメリカから学ぶというのも気が引けてしまうものです。
「できれば映画などの娯楽を通して学ぶ事ができたら?」と都合良く考えてしまいます。
そんな願いを叶えてくれる映画評論家がいます。
映画には2種類ある
今回ご紹介するのは映画評論家の町山智浩(まちやま ともひろ)さんです。
映画の解説を通してアメリカの近現代史や時事問題、文化の紹介をしているような人です。
現在はカリフォルニア州のバークレーに住んでいて、ジャーナリストやコラムニストとしての活動も兼務している関係で、映画の解説もけっこう深い内容になっています。
町山さんの解説はアメリカの映画が主ですが、ちょっと変わっているのは“日本未公開の映画”まで解説してくれるという所です。
観れない映画の解説を聞いても しょうが無いと思われるかもしれませんが、実はそういう映画の中には、日本では知る事が難しいような世界の情勢や映像を伝えてくれる映画があります。
逆に言うと、日本に入ってきている映画って商業ベースの映画ばかりで、基本エンタメしか無いんですよね。
そういう中で、ジャーナリストでもある町山さんが日本未公開の映画から読み取った情報を伝えてくれるのは、それだけでも有り難いです。
映画の解説も、周辺知識や前提となる素養が無ければただの感想になってしまいますが、町山さんの場合はそれを補足してくれるので素人でも理解できるようになっています。
映画にまつわる実話を知る楽しさ
町山さんは映画評論家兼ジャーナリストという事もあり、映画にしてもかなり穿った見方をする事があります。
一般的には名画とされている作品を、政治的なプロパガンダだと避難してみたり、エンタメ系だと思われる映画にもメッセージが込められている事を教えてくれます。
例えば、女子の憧れのお姫様映画「ローマの休日」にも、実は第二次大戦後のヨーロッパの状態や当時の方針のようなものが表現されているそうです。
どちらかと言うと町山さんは、映画好きよりもジャーナリズムや歴史好きの人に支持されているかもしれません。
ただ、彼のトーク自体は完全にエンタメです。
彼の解説を聴くのに頭脳は要求されません。
内容はけっこう濃いいのに、面白おかしく聴けてしまう所が重宝な存在なのだと思います。
アメリカはツッコミどころ満載の国だった
町山さんの話は時事問題を語る時でも堅苦しくならず、とっつきやすいのが特徴です。
例えば、こんな話がありました。
日本の自動車産業の躍進によりゼネラルモーターズが倒産した時に、単身デトロイトへ赴き、労働組合へ殴り込みのインタビューを試みた事があるそうです。
何だかタダでは済まされないような気がしますが、案の定 最初は罵声を浴びせかけられて騒然としたのですが、だんだん打ち解けて最後には仲良くなってしまったそうです。
そういう、どこか人懐っこい性格の人のようです。
得意分野は何といってもアメリカについての話で、その多様性や奇抜さは想像以上に凄まじく、驚くべき事が満載です。
モーリー・ロバートソンさんとの対談では、モーリーさんに
「えー!そうだったの?」
「知らなかった!!」
と連発せしめるアメリカ情勢への造詣の深さ(?)でした。
州やコミュニティが違えば、まるで違う時代を生きている人同士のように見えてしまうし、田舎ではカルト映画も真っ青という感じの猟奇的な事件が実際に起こっていたり、歴史にはかなり意外性があって、今まで持っていたイメージとはかなり違う事が分かります。
アメリカという国は映画顔負けの刺激的な側面をたくさん持っているだけでなく、
決して一枚岩ではない事がわかります。