一昔前まではフリーライターという職業が華やかにもてはやされていた時代がありました^^)

今や雑誌がどんどん廃刊され、寄稿スペースがますます狭くなっています。

そういうわけでかつてフリーライターとしてご活躍されていた方もブログやユーチューブを始めたりしています。

『自分自身がメディアになる』という戦略です。

そんな中、今やオワコンと言われつつあるメルマガを発行し続けて活躍されているフリーライターがおられます。

今回ご紹介するのは、メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』の著者である北野幸伯(きたの・よしのり)さんです。

『ロシア政治経済ジャーナル』は20年も続いている老舗メルマガで、発行部数は56,326部、日本のニュースや新聞からでは決して聞く事の出来ない「ロシア発の情報」を入手できる所が魅力です。

北野さんの、メルマガ発行までに至る経緯

そんな北野さんが このメルマガを発行するに至った原点はどこにあるのか?というと、それはゴルバチョフ大統領の時代にまで遡ります。

北野さんには、大きなターニングポイントがありました。

それはロシアへの留学経験です。

北野さんがロシアに留学したキッカケは「ゴルバチョフへの憧れ」と「大きな変革への期待」でした。

今でもロシアに留学する人というのは かなり少ないと思いますが、1990年といえばロシアがまだ「ソ連」だった頃です。

同じ留学でも、欧米への留学とではニュアンスがだいぶ違いますよね。

留学の動機は、1989年にベルリンの壁が崩壊した事でした。

この世界情勢の大きな変化に驚き、その渦中に飛び込みたいと思ったのだそうです。

そして当時19才だった北野さんは「変化の渦が起こっているソ連、その首都モスクワに行ってみたい!」という一心で留学を決めたのです。

1990年の日本はというと、バブル経済崩壊で株の暴落が始まった頃ですが、その年の流行語が「アッシーくん」や「おやじギャル」だった事を考えると、まだまだバブル気分が抜け切らないような状態だったと思います。

一方で北野さんは、留学に行った翌年には“ソ連崩壊”のときに居合わせるという、日本や欧米しか知らない人から見たら相当エキサイティングで濃密な体験をしたのだと思われます。

そして留学中に激動の時代に居合わせたという体験が、更にロシアという国への好奇心を倍増させたのだと思います。

大学を出た後は”カルムイク共和国”という国で大統領の顧問を勤めたりしましたが、現在では執筆が本業のようです。

ところがインタビュー記事によると、北野さんは最初から執筆業を目指していた訳ではないようです。

キッカケはあっさりしていました。

ロシアでは日本語の情報が手に入りにくかったため、結果としてまだ黎明期のメルマガやブログという希少なメディアに注目せざるを得ないような状況だったそうです。

そして実際に読んでみたら「なんだ、これなら自分でも書けそうな内容だな」というレベルだったので、自分でもメルマガを発行し始めたというのが理由でした。

20年前なら、かなり早い時点でのスタートだったのではないでしょうか。

ロシアだから出来る情報収集とは?

北野さんの情報源はオープンソース(新聞やニュース等)からで、特に一次情報(現場や人から得る生情報)が得られる立場にいるという訳ではないようです。

拠点はロシアですが、あくまでもロシア目線に傾いている訳ではなく、彼自身が説明している各国のピラミッドを比較・分析しながら情報発信しているのだと思います。

”欧米の情報コントロール圏外”であるという面を有利に働かせているというイメージでしょうか。

それに加えてインテリジェンスのセンスがあり、とても分かりやすい文章で書かれているという事が、メルマガが成功しているポイントだと思います。

日本のマスメディアって、どうなの?

19才の時に留学してから、ほとんどロシアに移住してしまったような北野さんですが、たまに帰国すると国際ニュースの乏しさに驚くそうです。

世界情勢がトップニュースになる事は稀で「暖簾切り裂きばばあ」のニュースがトップだった時には、改めて呆れたそうです。

これでは若者が世界情勢に興味を持てなくなるのも仕方がない、とこぼしていました・・・。

北野さんの話を聞くと、日本の国際情勢についての報道は、アメリカのフィルターを通したものだという事がよく分かります。

もちろん国によってそれぞれ偏りがあるのは避けられない事ですが、主に報道圏域の分類として「アメリカ・イギリス情報ピラミッド」「ロシア情報ピラミッド」「中国情報ピラミッド」「イスラム情報ピラミッド」などがあるそうです。

ちなみに日本はアメリカ・イギリス情報ピラミッドの傘下に入っています。

国際情勢に限らず事件の報道などでも、ピラミッドが変われば情報も全く違うというのも良くある事で、一つのピラミッドしか知らない状態というのはいかに危険かという事を思い知らされます。

だからロシアの情報を仕入れる事は、アメリカのピラミッド内にいる私たちが視野を広げて正しい判断をするには有効だと思います。

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