職場には本当に色んなタイプの人がいますよね。
最近気になるタイプが、『お願いをしてくる時の態度』と『コチラが質問した時の態度』とで、まる別人のように態度が違うタイプの人です。
最初の頃は「ずいぶん現金な人だな!」と驚きましたが、実はこういう人は結構いるし、本人には、あまりその自覚が無いようです。
最初は質の悪い二重人格者なのかと思っていたのですが、どうやら こうなってしまうには理由があるようです。
態度を変えるのはどんな人?
頼み事をする時と質問を受けたときの態度が豹変する人というのは結構いますが、中でも一番それが顕著な人がいます。
フルタイムパートの人で、たぶん新卒で入って10年以上勤めているのだと思います。
長く勤めているという事と、フルタイムという事で、きっと職場に天敵がいない状態なのでしょう。まるで我が家にいるように振る舞っています。
他の部門の顔ぶれも、よく知っているし、ローカルルールにも詳しいので、職場は自分の庭みたいなものなのでしょう。
どうせすぐ辞めていくようなパートやアルバイトは、年上だろうが何だろうが、その人から見たら全て下っ端なわけです。
かなりやりたい放題なのですが、誰からも注意される事はありません。
でも、本当の意味で、その人が職場での地位が高いのなら、頼み事をする時にわざわざ態度を豹変させる必要はない筈ですよね。その調子で横柄に頼んでもかまわないはずなのに、そうならないのには理由があります。
お頼いのとき気を遣う理由
人にお願いする時に媚びたり卑屈な態度になってしまうのは、それは心理的に「他に頼む人が居ない」という状況を表しています。
最初の人にお願いする事に失敗したら、次は「頼みたくない人」や「頼みにくい人」にお願いしなければならなくなるということです。
元々が自己評価が低い人なのでしょう。最初にお願いする人には、絶対に断られるのが嫌な訳です。
そういう困窮した気持が、態度を「媚びモード」にさせるのです。
お願いする時に気を遣わなければならない人というのは、その人にとって心理的に「頼みづらい人」が多いという事です。
逆に様々な人に対して、日頃の自分の態度を変える事なく、”誰にでもお願いできる人”は、自分に自信がある人です。
最初に頼んだ人に断られても、次の人に断られてもへっちゃらなので、目に付いた人にお願いすれば良いだけだという心理状態にあるわけです。
このような人の頭の中には「頼みにくい人」というのは存在しません。
だから自分に自信がある人は、お願いする時に、わざわざ気を使ったりする必要がないのです。
質問に答えたくない理由
先輩に質問するときに感じるのが、『聞きやすい人』と『聞きづらい人』って、いますよね。
逆に自分が先輩の立場になって、この理由を考えてみましょう。
質問に答えたくない理由って何だと思いますか?
もちろん「面倒くさい」とか「実は自分も知らない(疑問に思った事すらなかった・・・)」など、一般的な理由が考えられますが、実はもっと深層心理に理由があったりします。
他人に何かを “教えてあげる” という行為が “人から何かを奪われている” と感じる人が一定数いるといういう事です。
一つの職場に長く勤めていると、仕事の能力というより、単にローカルルールに詳しいというだけで、他人より優位に立っている状態の人がいます。
その知識を、入ったばかりのアルバイトなんかに教えては、自分の地位が脅かされるような気分になってしまうのだと思います。
長年かけて培った知識を簡単に人に譲ってしまうのは、自分にとって損な訳です。
そういう心理が、質問されたときに冷たい態度となって現れるのです。つまり、自分に対する自己評価が低い人なのです。一見すると横柄ですが、内心ビクビク過ごしているのでしょう。
逆に質問に対してウェルカムな人とは「教えてあげたら恩を売る事ができる」と考えます。自分に自信があるので、いくら情報を提供しても自分の地位が揺らぐとは思っていません。
二面性がある訳ではなかった
人に何か頼む時は卑屈な態度になるくせに、逆に後輩に質問された時は横柄な態度に豹変する人は、一見すると二重人格者に見えてしまいますが、その人の行動原理の根っこは『著しく自己評価が低い』という点で矛盾がないわけです。
頼むときに媚びモードになるのも、質問された時に横柄になるのも、理由は一つです。
どちらも「自信の無さ」から来るのであって、二面性がある訳では無いのです。
こういう人は、一見好き勝手に振る舞っているようでも、内心は自分に対する「無力感」でいっぱいです。
将来に対して夢が見られない、という苦しさを抱えているのです。
だから、そのような二面性がある人と対峙する時、『もしかして自分は、この人にナメられてるんじゃないか?』なんて、いちいち不愉快に思う必要はないのです。
自己評価が低く、苦しみを抱えているその人を、温かい気持ちで同情してあげて下さい。そこまで行かなくも、理解できれば許せるかもしれません。