いま情報発信力という「スキル」に注目が集まっていますよね。

いろいろなメディアに小マメに発信するとか、人の役に立つ情報を提供するとか、オリジナルな内容を心がけるとか、ノウハウも色々と紹介されています。

ただ、なんだか漠然とした話が多くて、何をどう実践して良いのやら分かりにくい話が多いような気がします。

情報発信力について考えるとき、伝わったか?伝わっていないか?を測る目安として「どれだけ人を動かしたか?」という尺度があると思います。

良くも悪くも、反響がないという事は、あまり伝わっていないと見なしても良いのではないでしょうか。

ちなみにSNSで「炎上」したら、それは大勢の人がコメントに書き込んだという行動を促したという意味で、情報発信に成功したと言えるかもしれません。

今回は、二人の著名人を例に情報発信に成功したケースと失敗したケースをご紹介してみたいと思います。

猿も木から落ちる!?

まずはビジネス界で著名な大前研一さんの話から始めたいと思います。

彼は肩書き的には経営コンサルタントとか起業家ですが、それだけでは説明がつかないような人ですよね。

ワールドワイドに認められていて、現代世界の思想的リーダーなんて呼ばれているそうです。

そんな大前さんですが、かつて彼は東京都知事選挙に出馬して落選した事があります。

彼の能力を考えると落選とは不思議な気もしますが、この落選の理由について鋭い指摘をした人がいます。

それは誰かと言うと・・・あの加山雄三さんです!

彼はそのとき選挙応援をしていたそうですが、大前さんにかなり厳しい口調でお説教したというエピソードが残っています。

あなたの言うことは、一般大衆の心情にまったく触れていなかった。
一握りの知識人にしか理解できないものだった、と言ったのです。

そして更に「平成維新」を掲げた事に対して、こう続けました。

明治維新の時の日本は、欧米列強の植民地になる恐怖という共通認識があった。
思想は尊皇だ、攘夷だ、開国だとバラバラだったけど、危機意識をバネに意見の違いを乗り越え、みんなが一丸となって危機を避ける事に成功したのだ。

後の人がそれを「明治維新」と呼んだのであって、維新がスローガンだった訳では無い。
それを、あなたは全て自分ひとりでやろうとしていた。

自分が35年間、歌で食べて来られたのは、大衆が何を考えているのかという事を常に大切にしてきたからだ、と・・・。

大前さんは、その時の加山さんの言葉を真摯に受け止め、当選した青島さんは大和言葉(やまとことば)を知っていたんだなぁ、と落選の理由を悟ったそうです。

ガンダムを語る経済評論家

次は経済評論家の上念司さんについてのお話です。

彼は情報発信で成功した好例だと思い、ここで取り上げる事にしました。

上念さんの話は、とにかく分かりやすいのが特徴です。
というか、あまり経済評論家っぽく無いんですよね。

時として延々とガンダムの話とかが続いて、気が付くと経済の話に変わっていたりします・・・。

そして肝心の経済の話も、日常的な言葉やテレビのネタに置き換えて説明してくれるので、一般人にも咀嚼しやすいのだと思います。

上念さんの注目すべき点は、ここだけではありません。
それは彼の情報収集の方法です。

彼には情報源となっている人がいるだけで、自分で研究活動をしているわけではありません。

安倍首相の経済ブレーンである浜田宏一教授に師事したり、高橋洋一さんはじめ自分が優秀だと思う数人の著作を読んでいるだけなのです。

何かの動画で、自らそう語っていました。

でも、そうして集めた情報をわかりやすく解説する能力で頭角を現し、国会で議員相手にするどく論破したりするまでになったのです。

高橋洋一さんとの対談の様子を見た事がありますが、上念さんは今や高橋さんのギャラを大きく上回っているらしく、高橋さんはかなり複雑な心境という顔つきでした。

ちなみに高橋洋一さんもテレビに出演したりしていますが、彼の話はちょっと私には難しいです。
やはり大和言葉を解さないタイプなのでしょう・・・。

ちょっと面白いですよね。

情報も仕入れと販売がある

情報発信も、商売に置き換えて考えると「仕入れ」と「販売」があるのだと思います。

大前氏は仕入れの達人で、販売先はセレブ限定の高額商品といった所でしょうか。

上念氏はお店で購入しただけの物を、広く一般大衆に向けて加工した商品という感じですね。

いずれにせよ、情報をキャッチして欲しい相手を見て、相手に合わせた言葉を使うという事が大切なのだと思います。

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