お店の経営で、店が潰れてしまう理由の一つに「万引き」のリスクを思い浮かべる人は多いかもしれません。

ところが、じつは万引きの被害よりも注意が必要な事があります。

それは、従業員が商品を盗ることもある という問題です。

よく職場で備品が無くなったりする事があると思いますが、あの謎の神隠しの正体も、従業員の仕業である確率が相当高いようです。

この問題の難しさは、たとえ従業員が疑わしい場合でも、疑いをかける事によってモチベーションが下がると困るからだと思います。

この記事では、お店を潰さない為に内部の犯行を予防する方法をご紹介します。

従業員教育の大切さ

万引きも、従業員が商品を盗む場合も、おなじ「盗み」という罪に変わりはないのだと思いますが、問題はその取締方法ですよね。

ただ、万引きと従業員とでは、「教育」の必要が発生するか否かという所が違うと思います。

従業員の場合、予防や再発を防止する事は不可能ではありません。

それは、従業員の盗みというのは「一個や二個の商品くらい、どうって事はないだろう」という無邪気な楽観主義から来ている事が殆どだからです。

従業員の中には、お店の利益というのは大きなもので、商品の一つや二つ無くなったところで、お店が潰れるなどとは夢にも思っていない人が少なからずいます。

これは商品が盗られるという問題だけでなく、乱暴な扱いによる廃棄処分などへの意識にもつながると思います。

商品を大切に扱ってもらう為にも、従業員には日頃から「利益を残す事の大変さ」を説く必要がありそうです。

従業員の意識と経営者の常識は違う

例えば、1つのパンを80円で仕入れて100円で売っているとします。

売上は100円ですが、そこから仕入れの代金を引くと、利益は20円ですね。

ところが、100円のパンが従業員に盗られたらどうなるでしょうか?
商品が消えてしまっても、仕入れの代金80円は確実に支払わなければなりませんよね。

売れれば入ったであろう20円と、支払い義務のある80円を合わせたら、100円の損失になります。

この失われた100円を取り戻す為には、パンをあと何個売らなければならないか?というと、1個の利益が20円だから、5個売らなければなりません。

損益の観点から見ると、パンを5つ盗られたのに等しいという事になりますよね。

従業員の中には、この簡単な理屈がわかっていない人がいたりします。

小売店というのは、ほんの小さな利益率しかなくて、たくさん売る事で何とか利益を得ているのです。

そこから販売管理費を支払いつつ、厳しい競争にさらされながら、やっとの事で存続しているのだという現実を知らないのです。

だから、軽い気持ちで商品を盗ったりします。

店側としては、従業員に、それが原因で店が潰れてしまう事もあるのだという事実を知らせる必要がありますよね。

店が潰れてしまえば、従業員側だって困るわけです。

従業員には、お店と従業員は運命共同体なのだという事に気付いてもらう事が重要だと思います。

お店を潰さない方法

お店を潰さない方法として、従業員の窃盗対策には荷物検査をするのが一般的ですが、「出来心」的な犯行に対しては、意識レベルでの防止策の方が有効に働くかもしれません。

商品ひとつ一つの価値は重いもので、それがお店の存続に十分影響を与えるのだという事実を知ってもらう事が必要です。

でも、それを「従業員の事を疑っている」というニュアンスは表に出さずに伝えなければなりませんよね。

そこで、方法としては「万引きへの取り組み」というカモフラージュを使って、危機意識を共有するという方法があります。

日頃から「万引き防止のため、声掛けしてくださいね」などの口実をネタにして、従業員に向けて、窃盗がお店の存続に与える脅威を浸透させるのです。

自分が軽い気持で商品を盗った事でお店が潰れて、また新しい仕事を探さなければならないのだと分かれば、さすがに従業員だって考えが変わりますよね。

それが、真面目に勤務している人も含めて、従業員の自尊心を傷つけないで教育をする良い方法だと思います。

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