起業時に一番怖いのは、やはり在庫を抱える事ですよね。

売れ残ってしまったり、売れても利益が残らなかったりすると営業畑出身の人はついつい「マーケティングが良くない」とか「セールスの勉強が足りない」という方向へ目が行きがちだと思います。

でも本当に「商品が高く売れない」事が問題なのでしょうか?

販売業の大敵である「在庫問題」を克服するポイントは、販売方法では無いかもしれません。

仕入れの達人のメンタリティ

商売の基本は、安く仕入れて高く売る事だと思いますが、そもそも安く仕入れるというのは難しい事ですよね。

卸から大量に買い付けたりすれば、在庫のリスクが付きまといます。

だから仕入れのセンスを磨く前に、まずは「買い物上手」になるというのも一つの方法だと思います。

手本になりそうな人を見つけて真似してみたり、普段から情報収集の習慣を身につけるなどして、「買い物上手」になる訓練をしてみてはいかがでしょうか?

買い物の達人の例で、以前You Tubeの動画で見た面白い話があります。

動画では、水産品の高級ブランド「関サバ」を安く手に入れる方法が紹介されていました。

その方法とは、「関サバ」が取れる海峡の反対側の漁港で水揚げされたサバを購入するというものでした。

「関サバ」は大分県の佐賀関で水揚げされるサバですが、同じ豊予海峡の四国側の佐田岬で水揚げされたサバは「岬サバ」と言い、値段は関サバの半分以下です。

それが、どうやら同じサバみたいなのです・・・。
海は繋がってますもんね。

こういう買い物が出来るという事が、良い仕入れが出来る人のメンタリティなのです。

買い物ひとつとっても、調査能力のある人とない人では差がついてしまうものなんですね。

これはお買い物の例ですが、仕入れだって同じ事だと思います。

実は高く買わされている!?

「賢く買い物したい」という人にビビっと来るような商品というのがあります。

例えば、OKストアの「訳ありリンゴ」です。

今でこそ「訳あり」と名の付く商品はどこにでもありますが、確かOKストアの「訳ありリンゴ」が草分けだったと思います。

特に説明するまでも無いかもしれませんが、これは台風などで落ちて傷物になってしまったけど、美味しさには変わりがないというリンゴを、低価格で提供するというアイデアです。

これが、見てくれには拘りがないけど、美味しいものを安く購入したいという層に受けて、現在に至っています。

イメージ的には「安く手に入れた商品」という印象が強いのですが、これは逆に「売り方が上手」な例です。

傷になってしまった理由を、あえて打ち明ける事で価値をアピールするという「販売テクニック」だと思います。

だから、こういう商品を購入して「良い買い物をした♪」と悦に入るようでは、まだまだ買い物の達人とは言えません。

むしろ、上手なセールスに「してやられている」という感じですよね。

仕入れの達人になるには、まずはお買い物上手になって「価値の目利き」が出来るようになれば、あとは応用あるのみなのではないでしょうか。

売れない・利益が出ない本当の理由

昨今ではマーケティングの方法やセールスのノウハウ等は色々と公開されていますが、仕入れに関する情報はまだまだ秘密が多そうです。

でも、じつは「高く売れない」のが問題なのではなく「安く仕入れていない」のが問題という事が多いのです。

特に、これから言うことに自分が該当していると思った人は、高く売る事より安く仕入れる必要性を自覚した方が良いと思います。

いくら「売り方」について思考を巡らせても、根本的な問題が違っていては問題は解決しません。

兵法の中に『戦略のミスは、戦術ではカバーできない』というのがあります。

ビジネスにおいては、『戦略≒仕入れ』であり、『戦術≒販売』だと自覚するのが大切です。

安く仕入れる為の具体的な答えはありませんが、自分が商品を安く仕入れられていないのが問題だという自覚さえ出来れば、解決できる人も多いと思います。

ぜひ『仕入れのミスは、販売ではカバーできない』という事を肝に命じて下さい。

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