従業員のモチベーションを下げない方法の一つに「職場のルール」の設定の仕方があります。
職場で問題があったときに、再発を防ぐという意味合いで新しいルールを設定する事があると思います。
でも、こういうルールの設定の仕方をしている職場には、じつは問題があるんです。
それは一部の問題を起こした人に合わせてルールを作ってしまうという所に危険性があるからです。
こういうルールは、9割の人には合わないものだったり、必要のないルールだったりする事が多いのです。
なぜルールを作る事で、従業員のモチベーションが下がってしまうのでしょうか?
今回は、ある店舗の現場で実際に起こった例を元に、その経緯をお話ししたいと思います。
全体責任の弊害
ある大型スーパーの裏方で、アルバイトの人が仕事中にスマホをいじりながら歩いていた という事が発覚し、問題になりました。
会社は、対策として「ケータイやスマホはいっさい職場に持ち込んではいけない」という新しいルールを作りましたが、これが不評を買ったのです。
あまりにもパート達のテンションが下がったのがわかったので、後でちょっとヒアリングをしてみました。
まずは、ルールが出来た理由への不満がありました。
仕事中にスマホをいじっていたのは一人のアルバイトだけなのに、全体が責任を取らされるというのが納得行かないという感情です。
自分の常識では有り得ないような事をわざわざルールにされたりすると、何か信頼されていないような感じがしたそうです。
確かに、一人の常識のない人に向けて設定されたルールでは、長年 真剣に業務に取り組んできた人には抵抗があるのかもしれませんね。
ルールで生まれる不都合
「職場のルール」が出来てモチベーションが下がってしまったもう一つの理由は、不便になってしまったという事でした。
家庭の主婦などは、家で何かあったときに備えて、ケータイは常時身につけていたいものです。
パートの中には、小さな子どもがいたり、親の介護をしている人もいます。
でも店舗勤務の場合、職場の電話はほとんど使う事が出来ません。
だから、何か緊急の事態や事故があった場合に備えて、スマホやケータイを身につけていたいのです。
他にも「スマホはロッカーに入れておきたくない」という人もいました。
その職場では、従業員のロッカーに貴重品を入れてはいけない事になっています。
ロッカー荒しに遭っても、会社側は責任を負わないと宣言しています。
そうなると、従業員がスマホをロッカーに置いておきたくない気持、わからないでもありませんよね。
このように、新しいルールを作りすぎると矛盾が出てしまう事もあります。
職場のルールの作り方
この出来事はほんの一例で、この大型スーパーでは、問題が起こった際に新しいルールが出来る事が多い職場でした。
これは、何か問題があったときに、あまり犯人探したり追求をしすぎると職場の空気が悪くなるという恐れから来てました。
ところが、代わりにルールを設定する事で従業員全体のモチベーションが下がっていたのです。
ルールというのは、ごく普通の人に合わせるべきだと思います。
本当はルールやシステムなんて、出来れば無いのが一番なんです。
犯人探しは良くない、ルールを作るのも駄目となると、どうすれば「好ましくない事態」を避ける事が出来るのでしょうか?
最初の見極めが大切
いくら注意して従業員を採用しようとしても、根本的にマナーの悪い人を採用してしまう事は避けられないと思います。
だからといって、何か問題が起こる度にルールを作ってしまうと、ルールはどんどん増えていきますよね。
では、問題が起こった時にどう対処するのが良いのでしょうか?
それは、実はマナーが悪い人を「すぐにクビにできるかどうか」にかかっています。
マナーが悪い人というのは、ある事を注意しても、また別の問題を起こす可能性が高いです。
態度が悪い、身だしなみが悪いなど、次々と問題を起こす事が多いんです。
ところが、それは雇ってみなければわからない事なんですよね。
そのために「試用期間」というものがあります。
試用期間中でも、人の本性というのは大体わかるものです。
最初だけは注意深く観察して、良くない兆候が見えたら本採用しないようにします。
ちゃんと このプロセスを踏む事で「好ましくない事態」が起きるのを未然に防ぐのです。
まとめ
従業員のモチベーションが下がってしまうのは、一つの大きな原因によるものではありません。
ほとんどが、小さい事の積み重なりで起こります。
一見小さく見える問題をないがしろにせず、1つ1つ潰していく事が鍵だと思います。
マナーの悪い人に合わせたルールを作らないのも、従業員のモチベーションを下げない方法として有効です。
ルールを作る権限のある人は是非、ルール作成時のチェックリストに加えてみてください。
「そのルール、マナーが悪い人に合わせていませんか?」