業務改善の種というのは、常に現場にあるものだと言われていますよね。
現場のちょっとしたお困り事やグチにこそ、改善のヒントが眠っているものだと・・・
でも実は、現場そのものよりも、現場のちょっと脇に転がっているのです。
この記事では、職場の問題点が見つかりにくかったり、なかなか改善が上手くいかない理由についてお話します。
暫定から固定への罠
例えばある職場で、パート人員の大幅な配置換えがありました。
その配置替えから数週間経ったある日、あるパートの人がたまたま、以前に担当だった仕事を久しぶりに手伝う機会がありました。
その時、『みんなの動きが、やけに無駄が多い・・・』と感じたそうです。
しばらく理由がわからなかったそうですが、どうやら、その無駄な動作の原因は、設備や道具、備品の配置のせいだとわかったそうです。
以前、自分がその職場に働いていた時に、新規に設備や備品などが導入された事があったそうです。
そのとき『今後の様子を見ながら、使い勝手の良い位置に調整して行こう』みたいなノリで、たまたま、その配置を暫定的に決めておいたままの状態になっていたのです。
業務改善の提案を見つける方法
本来、大勢のパート達が時間に追われながら動き回る職場では、事故や無駄のないよう備品の配置一つにしても相当な配慮が必要な筈です。
ところが、一旦決めてしまった配置というのは、よほどの不都合がない限り、そのまま継続されてしまう事が多いのです。
暫定的に決めたはずの配置が、そこで働く従業員達の『慣れ』によって、運用され、それが新人達に受け継がれて行くに連れて、いつしか、その無駄な動線に気づける人がいなくなってしまっていたのです。
そして、そのような無駄に動きに気づけるのは、意外にも担当から外れて、暫く経った元の従業員だったりするのです。
これは別の担当に変わった事で、ちょっと客観的な視点になるのだと思います。
その業務に従事していた頃は、とにかく納期を守りつつ正確にこなす事に頭がいっぱいで、あまり細かい事を気にしていられなかったそうです。
でも だんだん業務のコツが呑み込めてきたら、今度は「やっと一息つけた・・・」という安堵感で、もう仕事の事はあまり考えたくないという心境になり、暫定的に置いたはずの設備の調整など、頭からスッポリと抜け落ちていたのです。
でも久しぶりに手伝う機会が訪れた事で、動線に無駄がある事に気付けたのです。
当事者じゃないからこそ見える
よく言われている事ですが、業務の改善点というのは、当事者ほど見えにくいという側面があるようです。
自分の担当している業務について、自ら改善点を見出すという事は、思った以上に難しい事かもしれません。
先ほどの例では、以前に担当だった職場という事ですので、比較的、前任者に指摘しやすい状況なのかもしれませんが、指摘する人とされる人との人間関係によっては、問題点に気付けたところで、もうその業務の担当ではないわけで、指摘が難しい局面も出てきそうです。
ところが、前任かどうかに関係なく、まったくやった事がない職場であっても、傍から見ているからこそ、無駄な動線が気になる事も結構あるのではないでしょうか?
そして、その指摘の中には、なかなか鋭いポイントを突いている改善点があるかもしれません。
でも、たとえ業務改善点が見えたとしても、部外者の意見というのは、なかなか耳を傾けてもらうのは難しいものです。
自分が担当している業務のやり方について、他の部署の人から意見されたりするのはあまり面白い事ではないからです。
それに当事者にとってさえ、一度定着した業務の流れを変える事は、長期的には良くなりそうだと理解していたとしても、けっこう面倒なものです。
当事者だからこそ見えない、見たくないという心理が働き、かえって気づかない事にしてしまう傾向があるのかもしれません。
どうやら問題点を見つけ、逐一改善して行くには、それなりのしくみを設ける必要がありそうです。
他部署から吸い上げる
当事者は最初の決定を継続する傾向があり、部外者には客観的視点はあっても発言権が無い。
こういう理由で、せっかく業務改善になりそうな提案の種が失われているのはもったいないことです。
でも部外者の提案を担当者に直接ぶつけないで、ワンクッション置く方法ならばどうでしょうか?
当事者以外の「部外者」から管理者に向けて、定期的に気づいた事を吸い上げるというやり方です。
他人のやる事というのは、傍から見ると「何でわざわざ あんなやり方してるんだろう?」とか「もっと、こうすれば良いのに・・・」という具合に、割と目に付きやすいものです。
ただ、それを部外者から担当者に直接伝えるのではなく、管理者が部外者から「集める」という方法を取るのです。
人間の「人のアラほど良く見える」という性質を上手く利用すれば、業務改善に役立つ情報が集まりやすくなると思います。
告げ口とならないように
意見を言われた人によっては、『指摘するなら、自分に直接言ってくれたら良いのに、わざわざ上司に告げ口するような真似をして!(怒)』なんて事が起こらないともいえません。
でも、そもそも、業務改善というのは、それまでの流れを変更する事ですから、トップダウンで、無理矢理にでも敢行しない限り、無理なものなのです。
管理者だって、担当者から『流れを変えたい』という指摘があれば、応じるでしょうが、何も要請がなければ、『問題なし』と判断して、何もしないでしょう。
だから、こういう部外者、他部署の人からのアドバイスを受け入れる仕組みを作っておいて、担当者と相談しながら、時にはトップダウンで無理矢理にでも断行して行くシステムが必要なのです。
できれば、そういうコンセンサスを管理者が予め通達しておくのが望ましいですが・・・