最近のパートタイマーの傾向として
「人が辞める度に仕事が増える」
という不満をよく聞く事があります。

昔は正規雇用の間でよく語られていた話ですが、
いまではパートタイマーの世界でもそうなっているわけです。

それも、ただ単に「業務量が増えた」という話ではないようです。

いろいろな「係」を任されて
その道の専門家のように扱われたり
人が辞めるたびに「係」の名目が増えて行くのです。

でもパートタイマーにとって
職場で「不可欠な存在」になるというのは良い事なんでしょうか?

今回は、パートタイマーに「係制度」を導入する事の弊害と
その代替案としての「従業員のモチベーションを下げない方法」をご紹介します。

パートタイムのメリット

パートタイマーのモチベーション管理を追求する前に
まずはパートタイマーの定義について
再確認する必要があるかもしれません。

パートタイマーというのは
そもそも従業員を「取替可能な部品」のように捉えて
運用していくシステムですよね。

ある一定の業務範囲が決められていて
同一の業務を複数でローテーションしながら担うのが
一般的なパートの概念だと思います。

複数の人員が同一の業務をしているのだから
悪く言えば「代わりが効く」
「誰でも出来る」という事になりますよね。

逆に、良く言えば「代わりが効く」のだから
好きな時に休む事が出来るわけです。

ところが、このパートタイマーの「代わりが効く」
というメリットが揺らぎ始めています。

それが「係」の存在です。

パートタイマーにも、ベテランと新人がいますよね。

定着率の低い職場では、新人が長く留まる事が少ないので
一部のベテラン・パートだけに経験が蓄積していきます。

会社側からすると
業務に慣れたベテランに活躍してもらう方が効率が良いので
ベテランに「係」を与えて業務の専任化を図ろうとします。

そして新人には、熟練のいらない単純作業を中心にやらせる
という図式です。

本来なら同一の業務をやる筈のパート内で
係という名目で「専任化」を行っているわけです。

こうなってくると、ベテランは業務に穴が開けられないので
どんどん休みが取りづらくなって行きます。

パートタイマー側からすれば
「待遇はパートなのに業務は専門化してくる」
というのは話が違うと思うでしょう。

こうしてパートタイマーのモチベーションが
だんだん下がって行くのです。

ブラック企業の定義

最近、自分の職場がブラックだと思う人が増えているようですが
どうもどこまでが「ブラック企業」で、どこまでがそうでないのか
なかなかハッキリさせる事は出来ませんよね。

労働時間が長いとか、サービス残業させられるとか
休めない雰囲気にされているとか、パワハラがあるとか・・・。

確かに労働基準法に違反している会社というのは
沢山あると思います。

でもこれって「嫌だ」と思えばブラックだし
別に「会社なんて、そういうもんだ」
と捉えられているケースも多いわけです。

そこで今回は、パートタイマーにとってのモチベーション視点で
「ブラック企業」を定義してみます。

ブラック企業の定義の一つに
募集要項と実際の職務との間に「大きなギャップ」
があった場合があると思います。

実は、パートタイマーに「係」を担当させて専任化するのは
「大きなギャップ」に当たってしまいます。

係の担当になると業務に穴を開けてしまうため
どうしても休みづらくなります。

休暇を取れる制度を設けていたとしても
実際は好きに休む事が出来ないわけですよね。

でも、パートタイマーの求人に応募してくる人は
「自由に休暇が取れるから」
という条件で来ているかもしれないのです。

そしてパートタイマーとして契約するのですから
社員の場合とは違うと思います。

待遇上では「代わりがきく存在」として雇われているのに
業務上では「代わりが効かない存在」として扱われるわけです。

パートタイマーたちは
この矛盾を理屈で理解している訳ではないと思います。

ただ「係」制度が本格的に導入されると、結果として「もたない」のです。

無理は続かないので、モチベーションが下がってしまいます。

そして最後は、今の職場を継続する事をあきらめ
本当に「代わりがきく」仕事を求めて転職せざるを得なくなります。

では「係制度」を導入する以外に
滞りなく業務を回していくには、どうすれば良いのでしょうか?

パートタイマーを有効活用するには?

パートの業務が専門化してきて、ベテラン・パートが専任しているという状況は、何を意味しているのでしょうか?

それは、ベテラン・パートのノウハウが共有できていないという事になりますよね。
これは、マニュアルの整備がされていないという証拠です。

マニュアルの無い職場というのは、すべて従業員の記憶に頼っていて、引き継ぎもベテランたちの口伝えで行われます。

これと真逆に、完全システム制が上手く機能している企業があると思います。

例えば、マクドナルドです。
マクドナルドはマニュアルが整備されているので、極端な話アルバイトが電話1本で突然辞めてしまったとしても、ノウハウが消える事はありません。

それこそ、また新しいバイトを入れれば済む話で、新人が来ればちゃんと機能します。

店舗に社員がいる必要もありません。
マニュアルが機能しているので、店長とバイトだけでも ちゃんと業務が回るのです。

逆にマニュアルのない職場は、ベテランが一人辞めただけでも、いちいち職場が混乱してしまいます。

そうならない為には、社員にマニュアルの作成をさせる必要があります。
それこそが「代わりの効かない」社員の仕事ですよね。

そして、パートの「係制度」は無くすべきだと思います。
全員が一通りこなせるようにして、ローテーションで回して一つの業務に「固定」させない事がポイントです。

これが、従業員のモチベーションを下げない方法です。

パートを本来のパートタイマーとして運用できて初めて、学生や主婦などの副業的な労働力を有効活用できるのだと思います。

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