何となく、職場の空気がどよ~んと重い・・・
どんなにリーダーが叱咤激励しても
従業員のモチベーションは益々下がる一方。
ハッスル・リーダーと
着いて来れないメンバーたち・・・
部活などでも、良く見る光景かもしれませんね。
もちろん両者とも悪気などある筈もないのに
どういうわけか職場の空気が淀んでしまうのは
何故なのでしょうか?
こういう場合、ついついリーダーやメンバー達の
個人の能力や性格にフォーカスしてしまうと思いますが
実は大きな『構造的な原因』があるのです。
構造そのものが間違っていたら
どんなに根性を発揮しても、心構えを鍛えても
エネルギーがザルのように流出してしまう事でしょう。
今回は、従業員のモチベーションを下げないために
「職場の空気を変える方法」を紹介します。
職場をブラック化させる「リーダーの存在」
従業員のモチベーションが下がると
まずは現職のリーダーの資質が問われるかもしれませんね。
でも その前に『リーダーとは何か?』という定義を
問うてみる必要があると思います。
日本の企業では、リーダーとマネージャーの定義を
ごちゃ混ぜにしているような気がします。
まず、リーダーというのは「実務をよくこなす人」の事です。
能力が平均よりズバ抜けて高くて
いわばスーパースターのような存在です。
並外れた能力を示す事で
周りの人に「人間やれば出来るのだ」という認識を芽生えさせる
『ムードメーカー』的な役割があると思います。
ところが何を隠そう
こういうデキる人というのは、管理には向いていないのです。
なぜかと言うと・・・
「出来ない人」の気持がわからないからです。
リーダーの能力に迫れる人というのは滅多にいないものです。
たいがいの人は普通か、それ以下ですよね。
でも普通の能力では、リーダーからすると
「やる気がない」という風に見えてしまうのです。
すると普通の人は、何をやっても否定的に受け取られ
頑張っても認めてもらえず
やる気が無くなってしまいます。
では、どんな人が管理の仕事をすれば
従業員のモチベーションが下がらなくなると思いますか?
マネージャーの資質
従業員のモチベーションを下げない方法は
「向いている人」に管理を任せる事です。
実は管理をするのに、特にデキる人である必要はありません。
むしろ人の能力の「平均点」が理解できる方が向いています。
能力的にいえば「中の上」くらいの人が適任で
そういう人をマネージャーに据えれば良いのです。
実際この方式を取っている会社が
組織の管理に成功しているようです。
マネージャーは特別能力が高い必要はありませんが、
一つ学ばなければ ならない事があります。
それは、実務能力の高い人を「上手に」使うスキルです。
実務能力が高い人というのは
ひと癖あったり、プライドが高かったりして
使いづらい性格の人が多かったりします。
そういう人を上手に扱い
存分に能力を発揮してもらう力量が
マネージャーには求められます。
そして、能力が標準的なマネージャーというのは
「出来ない人」の気持がわかります。
真面目に一生懸命 取り組んでいる従業員には
その存在をちゃんと認めてあげる事が出来るのです。
ところが、ここで一つの問題が浮かび上がってくると思います。
それは、能力の高い人から権限を取り上げてしまったら
能力の高い人のやる気が下がってしまうのではないか?
という疑問です。
デキる人をどう扱うか?
実務能力の高い人に権限を与えないとなると
「標準の人と同じ処遇で良いのか?」
という疑問が湧いてきますよね。
もちろん、それでは駄目です。
実務能力の高い人には「報酬」という形で
報いてあげるのが一番です。
実務能力が人の2倍なら2倍、3倍なら3倍
という風に、能力に見合った報酬を与えさえすれば
デキる人のやる気が下がる心配はありませんよね。
アメリカではスーパー営業マンやスーパー技術者など
社長よりも高額な報酬を取っている人が、ザラにいます。
日本の感覚では
会社員の域を超えているように思えますが
実力の高い人に相応の報酬を与えても
ちゃんと利益が残れば良いわけです。
では、最後にマネージャーの処遇について説明します。
マネージャーの待遇
実はマネージャーの待遇というのは
特別に優遇する必要はありません。
ちょっと手当を付加してあげる位で、かまわないのです。
なぜならマネージャーは
組織の中で、位が上位という訳ではなく
あくまで「役割分担」としての管理職だからです。
マネージャー制を導入している会社には
マネージャーを社員にすらしていない所もあるくらいです。
極端な話、中小規模の会社にはリーダーも部長も必要ありません。
各部門に「マネージャー」がいれば良いのです。
リーダーというのは本来
企業の世界では「創業者」の事を指すのだと思います。
だから、2代目からは社長もマネージャーになります。
「経営者」という大マネージャーの下に
部門別に小マネージャーがいる、という構造です。
スーパースターのような人材というのは
教育して出来上がるものではありませんが
管理職というのは、育成が可能です。
実務能力の高い人には権限を与えず
実力的には中の上くらいの人物をマネージャーにする方法なら
サブ・マネージャーなども据えて
複数で運用する事も可能です。
実力の高い人は、負荷が減って報酬も上がるから不満は無いし
マネージャーは、管理の仕事に集中する事が出来ます。
そして一般のメンバーは
それぞれが自分のレベルで無理なく働けるので
定着率も上がり、スキルが向上します。
こうして全員が、無理のない状態で
お互いの存在を認め合えれば
職場の空気も良くなると思います。
役割分担を上手く機能させる事こそが
従業員のモチベーションを下げない方法なのです。