従業員のモチベーションが下がる理由の一つに「離職率が高い」という要因があります。

パートを中心としたサービス業の現場などでは、余裕のある従業員の確保が難しく、ギリギリの人員で回している所がほとんどです。

結果として、一人抜けるだけでも業務にもたらす影響が大きくなってしまいます。

そして、誰かが辞める度に職場に混乱が起こるので、残されたメンバーは毎回 大変な思いをします。

この混乱に嫌気がさして辞める従業員も出てくるので、乱雑を極める時期が長引く事もあります。

こういう事が度々あると、従業員のモチベーションは著しく下がり、次の「離職予備群」になるという負の連鎖になってしまいます。

この状態を打開して従業員のモチベーションを下げないようにするには、ちょっと思い切った方法が必要です。
今回は とあるパートを中心としたサービス業の現場の実態を例にご紹介したいと思います。

従業員の定着率が低い理由

まず離職の連鎖は、ひとつのキッカケから生まれます。

それは、古株のパートがひとり辞める事です。

古株のパートが辞めると、その人がやっていた業務は中堅どころに回されます。

次に中堅は、新たに採用した新人の教育もしなければなりません。

中堅は、古株のやっていた業務を吸収しつつ、新人も教育しなければならず、新人もすぐに戦力にはならないので、思いっきり負担が掛かってしまいます。

悪循環が始まる

無理難題を押し付けられてキレ気味の中堅を見て恐れをなすのでしょうか?
実際の所はわかりませんが、新しく採用した新人もあまり定着しない傾向にあります。

そして、とうとう負荷に耐えられなくなった中堅も辞めてしまうという「雪崩」のような現象が起こってしまうのです。

すると、また新人を入れなければなりませんよね。

ところが中堅は、丁寧に新人教育をしても結局は辞めてしまう事がわかっているので、教え方や接し方もだんだん雑になっていきます。

これでは、いつまで経ってもパートやアルバイトの定着率が上がる事は無いですよね。

従業員の定着率を上げる方法

このパート離職の悪循環を断ち切って、定着率を上げるにはどうすれば良いのでしょうか?

それには、雪崩のキッカケである「ベテランの離職」を食い止める事がキモになってきます。

ベテランの離職を食い止めるため、ここは思い切ってベテランの時給を500円上げてしまいましょう。

そしてベテランの定義として、パートの世界では「3年」続いたらベテランと見なしても良いでしょう。

具体例を示すと、最初の時給は900円で、3年続いたら1400円にしてあげます。
なかなか そんな会社は無いですよね。

でも この方法は、ベテランも新人も両方 繋ぎ止める事が出来て一挙両得なんです。

そもそも、どうしてベテランが辞めてしまうのかを考えてみて下さい。

それは、他へ行っても大して時給が変わらないからです。

ベテランを手放さない為には「この特権を失ったら損」という状況を作らなければなりません。
そして、この3年で急激に時給を上げる方法は、じつは新人にも上手く作用するんです。

新人が定着しない理由

「終身雇用」というものが殆ど死滅した昨今では、勤務を3年間継続させる事が難しくなっています。

昔は昇進、昇格、退職金、年金・・・と、ガマンさえしていれば報われるという希望がありましたが、今はいくらガマンしたって何も積み上がっていきませんよね。

こんな世の中だからこそ、新人の定着率を上げるには「3年ガマンすれば時給が大幅にアップする」という夢を見させてあげる必要があります。

いくら昇給があっても「徐々に上げていく」という方法は、心理的に有効では無いんです。

人は「線形」より「非線形」を好む生き物です。
少しずつ増える事よりも、一気に大きくなる事に喜びを感じるものなんです。

1年ガマンしたら10円上がった、来年は更に10円上がるだろう・・・というような状況では辛抱が続きませんが、不思議と「もう1年ガマンすれば500円アップだ!」と思えば辛抱できてしまいます。

人は、劇的な体験をしたい生き物なんですね。

そして この「3年」という期間にも、実は意味があるんです。

石の上にも三年!?

ひとつの職業をものにする期間として「まずは3年辛抱せよ」と言いますよね。

中学校、高校などの学校も3年制です。

これは、人間が耐えられる限界期間として一般的なのが「3年間」という事だと思います。

5年続く人というのは、よっぽどガマン強いか、適正があるか、いずれにせよ少数ではないでしょうか?
逆に言えば3年続かない人の方が多数派で、ましてやパートなら尚更かもしれません。

でも、時給が500円アップするというのは、パートの世界ではなかなか魅力的なオファーだと思いませんか?
一般的な限界期間である3年間なら、けっこう頑張れてしまうのではないでしょうか。

とはいえ、いくらパートの定着率を上げる為とはいえ、500円の昇給は大きすぎるという声が聞こえてきそうですね。

まとめ

ここで、パートの離職が後を絶たない原因を思い出して頂きたいと思います。

離職の連鎖は、一人のベテランの退職から始まります。

そして、一般的なガマンの限界は3年です。

つまり、ベテランのガマンを3年間持たせ続ける事ができれば、ダムの決壊は防げるのです。

そして、一番辞めやすい新人のモチベーションを3年間持たせる事が出来れば、新人は中堅になる事ができます。

職場は、晴れて定着率を上げる事が出来るようになります。

パートの能力というのは、日々上がっていくものです。
これは、特に能力が高いとは言えない人にも言える事です。

3年に一度の大幅な時給アップをして「離職の連鎖」を食い止めれば、パートたちが日々積み上げたパフォーマンスをきっちり回収する事が出来ます。

また、ベテランのパートを確保できれば「社員」を雇う必要もなくなり、更に利益を確保する事が可能になるのではないでしょうか。

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