幸せになる為には、自覚的に生きている人をより多く知るという事が重要になってきます。
このシリーズでは、そのような自覚的に生きている人たちをご紹介します。
私はあまり小説は読まない質なのですが、すごくハマった小説があります。
かなり古い小説ですが「ザ・ゴール」という小説が流行った事がありますよね。
小説といっても、製造業にまつわる理論を説明するために作られた物語なのですが、小説としても完成度が高いので、普通に小説として楽しめました。
あんまり面白かったので、このシリーズを全て読んでしまったくらいです。
ビジネス書だと思ったら、小説だった
今回ご紹介するのは、この「ザ・ゴール」の著者で物理学者のエリヤフ・ゴールドラット博士です。
物理学者が小説を書くという事は珍しいのですが、本当に頭が良い人というのは、小説くらい書こうと思えば書けてしまうものなんだなあ、とちょっと意外に思いました。
それから どんなにややこしい話でも、本当に深く理解している人というのは、素人にも分かるように説明できるのだという事を知りました。
逆に言うと、ただ単に暗記しているだけの人ほど、抽象化したりメタファーに置き換えるという「応用」が出来ないのだと思います。
ただ、こういう人は小説を書く「必要がない」から書かないというだけの話なんですね。
先生から何を学ぶのか?
「ザ・ゴール」の面白さは、ただ単にシステム工学系の専門的な話が分かりやすく学べる、というだけにとどまりません。
全般に流れている、仕事に対する熱い情熱が物語に乗って伝わってくるのです。
ふだん仕事を面白いと思えずに過ごしていた自分にとっては、何か大切な事を教えてもらった気がします。
これはゴールドラット博士自身の、仕事や研究に対する情熱が投影されているのだと思います。
もしかすると、大学の名教授や名講師の講義というのも、ただ単に知識を伝える場というだけでは無くて、学問の面白さや探求への熱い魂を生徒たちに伝授する場なのかもしれないなぁ、と漠然と思ったりしました。
そうだとすると、今は何かを学ぶには本当に良い時代になったと思います。
学びやすい時代を邪魔するものの正体とは?
ゴールドラット博士のような人の小説というのは、ソフトを売る為というレアなケースでしか生まれませんでしたが、今はもっと簡単な方法で学者や技術者の講義を聴く事ができます。
それはyoutubeの動画です。
最近は世界中の先生の講義を直接聴く事が可能になりましたよね。
大変な思いをして大学に入ったり、お金を貯めて外国へわざわざ出向いていく必要もないのです。
日本人には英語という壁があるのが残念ですが・・・。
ただ、英語で仕入れた情報を日本語で紹介するという仲介者のような人も増えていると思います。
普通に英語が理解できる人も増えていますよね。
いまや大学や専門家の中だけに留まっていたユニークな情報が、どんどん外へ拡散し始めています。
今までだったら決して出会う事ができなかった人物の話を聞く事が可能になったのです。
動画というのは、活字だけでは伝わらないエネルギーのようなものもキャッチする事が出来ますよね。
これからは学者だ、専門家だとかの経歴に関係なく「本当に理解している人から真髄が聞ける」という機会も増えて行くと思います。
本当に問題なのは、自分の心のブロックなのかもしれません。
こんなに面白くてしょうがないコンテンツが溢れているのに、受験の為とか就職の為に勉強するなんて、もったいなくて好奇心が泣くと思います。
博士の誤算
物理学者であり、当時ソフトウェアの開発に取り組んでいたゴールドラット博士ですが、そもそもなぜ彼は小説など書いたのでしょうか?
実はこの小説は、あるソフトを売り込む為に書かれた「宣伝用」のものだったそうです。
ところが小説がベストセラーになって、肝心のソフトは売れませんでした。
博士的にはがっかりだったでしょうが、後世に残した影響は大きいと思います。
多くの人がゴールを読んで”TOC理論”というのを理解した事によって、製造業にとどまらず産業界に大きな変革をもたらしたのではないでしょうか。
高額なソフトウェアが一部の企業に売れて終わるよりも、全世界に幅広く影響を与えるという結果になったのです。
ちなみにゴールドラット博士が設立したGOLDRATTというコンサルティング会社は“成功報酬”形式で、成果が上がるまでは交通費さえ請求しないんだとか。
ゴールドラット博士は既に亡くなっていますが、博士の夢は“世界中の人に考えることを教える”という事だったそうです。