サービス業などの従業員比率は、昨今の経営事情から、パートが主力になって来ているようです。
ところが、パートは解雇しやすい反面、定着率が悪い傾向があり、これはこれで問題ではないでしょうか?
特に「新人の定着率」が、かなり低いようで、その理由として考えられるのは研修がされないで、いきなり実務に放り込まれることが多いようです。
研修に十分な時間を割けない状況を、OJTという都合の良い言葉に頼っている会社が増えているのではないでしょうか。
もちろんそのOJTがちゃんと機能しているのなら、新人の定着率、さらにはパート全体の定着率が低いままにはならないのでしょうが、実際ほとんどの職場で、そのOJTが機能していないという実態があるのです。
OJTとはどうあるべき?
本来OJTとは、経験を積んだ人が新人に、実際の業務を通して「知識の差」を埋めていくという方法ですよね。
マニュアルや研修という形をとらずに、職場で使われている専門用語を使って指示を出し、わからなければ質問させる事によって覚えてもらうシステムです。
だから、聞きやすい雰囲気を作れている場合は上手く機能します。
ところがそうでない場合、たとえば伝える側がイライラしていたり、聞かれても ちゃんと説明できないようでは、あまり意味がありません。
気の弱い新人は聞き返す事が出来ずに、結局は覚える事ができませんよね。
また、OJTで説明しきれない事も考慮して、少なくとも聞き返された単語くらいはマニュアル化しておくべきです。
OJTの現実は・・・
本来OJTというのは、トレーニング的な意味合いのものですよね。
ところが新人がどんどん辞めてしまうような現場では、最初の数日で「OJTのようなもの」は終わってしまいます。
そのあと新人は、特別なフォローもなく、急に聞きづらい環境に放り込まれてしまいます。
何か聞きたい事がある時ほど、周りもテンパっていたりするものですよね。
そうなると気が弱い人は遠慮して聞けずに、なかなか仕事が覚えられません。
そして、だんだん職場に居づらくなってしまいます。
本当に聞きたいのは「例外」
最初の数日で定形業務を教えたら「教育期間は終了」し、後は周りの「気が付いた」先輩が教える、というのがパートやアルバイトのOJTの実態だと思います。
ところが新人が知りたいのは、定形業務よりもむしろ「突発的な事態」や「例外的なケース」だったりします。
そして、そういう事態が起こった時に、その場で納得のいく答が欲しいわけです。
でも実際は、忙しいからという理由で「対処法」だけを教えられてお終い、というのが殆どではないでしょうか。
「どうしてそうするのか」というような理由や意味まで教えてあげる人は、ほとんどいません。
これでは記憶にも定着しにくいし、応用が効きませんよね。
聞きにくい雰囲気になる理由
新人が聞きにくい雰囲気になってしまうのには、パートたちの「仕事」に対する認識に理由があると思います。
パートたちにとって仕事とは「作業」であり、後輩に仕事を教える事は業務の内に入っていません。
他に教える人がいないので、仕方なく教えているだけです。
だから、常に「作業」が優先してしまう訳です。
目先の作業を中断してでも、新人が理解するまで付き合う筋合いは無いのです。
もちろんハッキリとこんな風に意識している人は、あまりいないと思います。
ただ、行動としてはそうなっている事が多いのです。
でも新人をちゃんと育てなければ、いつまで経っても新人が入っては辞めるという事が繰り返されてしまいますよね。
新人を育てるのも仕事なのだという認識が、管理者からパートまで、従業員全てに行き渡らない限り、新人の流出が収まる事はないと思います。