職場には、時々紛らわしい言葉や分かりにくい言葉があると思います。

言葉が紛らわしい事で起こる小さな誤解やミスは、仕事の効率を下げている原因の一つです。

特に似ているけど違いがある事については、一緒くたにしないで使い分ける事が大切です。

ところが実際は、そういう煩わしさを従業員の経験値で補っているのが現状ではないでしょうか。

あるネットスーパーのケーススタディ

ネットスーパーって、ご存知でしょうか?

通常業務をしているスーパーが、ネットで注文を受け付けて、注文があったものを売り場から集荷して、発送するというサービスのことです。

今回は、あるネットスーパーの職場にあった「これって混乱ワードじゃないの?」という実例をご紹介します。

【戻し】その1

ネットスーパーでは、一度トラックで出荷して客先に届いてから、商品がキャンセルになって戻されてしまう事があります。

このとき、生鮮食料品や消費期限の短いキャンセル品は廃棄処分にされます。

これをネットスーパーの職場では「戻し」と読んでいます。

ところが「戻し」と読んでいるものには、別のパターンもあるのです。

【戻し】その2

ネットスーパーでは注文品が品切れだった場合、代替商品を用意して、お客さんに連絡して代替品でも良いかどうかを聞いています。

この時お客さんが不要と言えば、用意した商品は売り場に返します。

これも「戻し」と読んでいます。

この「戻し」の商品はいったん「戻しコーナー」に放置され、気が付いた人が売り場に戻すというシステムになっています。

似たコトバが生まれる原因とは?

この同じ「戻し」という用語・・・その処理の仕方は大違いで、かたや廃棄処分で、もう一方は商品として売り場に出すわけです。

意味的には「戻された商品」という解釈でも、扱いとしては全くの別物です。

一見すると一つの職場であっても、実は、それぞれ別の作業の担当を持っているものです。

・商品を持って帰って来る人
・電話をする人
・最終的に処理する人

永続的な係になっている作業もあれば、日替わりで変わる係、また時間帯によって交代する場合もあるでしょう。

ところが残念な事に、このような職場で働いている人達は、コミュニケーションが苦手な人が多いのも事実です。

だから『曖昧に使われているコトバがそのまま放置される』というような事態が起こるのです。

同音異義語がもたらすものとは?

このような、ある職場固有の流動的に生まれたコトバは当然 混乱をもたらし、ミスが起こる事になります。
大勢のパートたちがローテーションで働く職場で、こういう紛らわしい言葉を使うのは事故の元にもなるのです。

職場の管理者じたいもコミュニケーションが下手な事を自覚していたりしますが、問題は、案外こういう『コトバに対しての感覚に敏感に気づけているか?』という事に起因していたりするのです。

そういう職場では、結果として従業員やパートの人達が「よくわからない物には触らないのが一番」という雰囲気になり、『戻し』に関係する処理は『皆が嫌がる仕事』というカテゴリーに入る事になります。

言葉の定義でスッキリ解消

こんな時、同じ「戻し」でも、「客先戻し」と「店内戻し」という言葉があったらどうでしょうか?

そして この言葉を使ってメモを残せば、誰が処置をしても間違いはありませんよね。

実際に言葉を作って運用してみて、しっくりいかなければ 何度でも変えれば良いのです。

みんなが理解できる言葉じゃないと意味がないので、わかるまで変更し続ければいいのです。

「そんなに変更したら、かえって現場が混乱するのではないか?」と思われるかもしませんが、それは直感的でしっくりするコトバが見つかっていない証拠です。

基準としては、入ったばかりの新人がそのまま理解できる事です。
新人が意味を取り違えるようだったら、もっと良い言葉を見つける必要があります。

適切な言葉を設定するというのは、下手なIT化よりもよほど効率が良い場合だってあるのです。

忙しいときほど・・・

時間に追われる業務などは、特に「言葉」が大切だと思います。
緊急の事態では、あれこれ説明している暇は無いからです。

それには普段から、適切で正確な言葉を使い慣れている必要があります。

そういう言葉が多ければ多いほど、業務を全員で共有できる範囲が広がります。

何かわからない業務があったときも、言葉があると「○×」って何ですか?と聞けば済むので、質問のやり取りも簡素化できますよね。

あなたの職場にも、曖昧に使われていて、従業員の経験でフォローしてもらっている用語はないでしょうか?

特に新人が入った来た時には、それらの用語に気づきやすい機会だと思いますので注意してみてください。

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