職場の中で、実務能力の高い いわゆる「デキる人」というのは、会社にとって重宝な存在ですよね。
仕事が出来る人には責任のある仕事が集中していくので、そういう人が最終的には職場のリーダーに選ばれたりすると思います。
これは日本の会社に良くある傾向ですが、残念ながら この方法では組織が上手く機能しない理由があるんです。
従業員全体だけでなく、デキる人のモチベーションまで下げてしまう可能性もあります。
今回は、一人の人間に全て任せてすぎて、何かあると すぐにガタガタになってしまう職場の例を紹介しながら、従業員のモチベーションを下げない方法についてご説明します。
休めない職場に不満爆発
一人の人間に全てを任せ過ぎると、いろいろと問題が起こってきます。
まずは、リーダーの不満の爆発です。
不満の理由は、他の従業員は好きな時に休暇が取れるのに、自分だけが休めないという事です。
確かに、リーダーが抜けるのと他の従業員が抜けるのとでは、職場としては大違いです。
リーダーは、一人で「代わりが効かない」仕事をたくさん抱えているからです。
代わりが効かない仕事をしているなら、単純作業的な実務は他の従業員に任せているのか?
と言えばそうではなく、誰よりもハードに働いていたりします。
それでも報酬や待遇の面で明らかに優遇されるなら、文句も出ないかもしれません。
でも、リーダーも他のメンバーと大差無いというのが現実ではないでしょうか?
これでは不公平な気がしたり、冷遇されていると感じても不思議はないと思います。
こういうリーダーの気力を支えているのは、「自分は必要とされている」という使命感くらいのものかもしれません。
でも、そんな気持がいつまで続くのかというと、かなり心細いものですよね。
職場が良くなっていけば、あるいは報われるのかもしれません。
でも今の情勢を考えると、こういう方法では太刀打ちできないかもしれません。
一人倒れたら崩壊する職場
実務能力の高い人が職場の管理を任されている職場では、不具合も起こりやすいものです。
というのは、業務には必ず「割り込み」が発生するからです。
割り込みが同時に何件も起これば、一人では対処する事が出来ませんよね。
時には、リーダーが職場を離れなければならない事態もあるかもしれません。
リーダーにしか出来ない仕事が割り込みで複数入ってしまうと、他のメンバーでは補佐しきれない事もあります。
また、全体像を把握している人間が突然抜けたりすると、業務の流れが中断し、職場が混乱して脂汗をかかなければならない事もあると思います。
こういう事が何度もあると、従業員は心理的に不安を抱えてしまいます。
リーダーの方も、自分だけが責任を負わされて「誰も助けてくれない」という思いが募ります。
リーダーがちょっと抜けただけで職場がガタガタになるなら、リーダーが倒れた場合はどうなってしまうのでしょうか?
考えただけで恐ろしいですよね。
職場がブラック化する理由
実務能力のある人をリーダーにしては良くないのは、職場が安定しないという事だけではありません。
従業員全体のモチベーションを下げてしまう可能性が高いのです。
というのは、仕事ができる人というのは「出来ない人」の気持がわかりません。
ところが標準の人というのは、出来る人から見たらボンヤリしていてやる気がないと見なされてしまいます。
でも、普通の人だって大概は一生懸命やっています。
ただ、生まれつきの能力が違うのです。
パートやアルバイトであれば、遅刻せずに職場に来ているという程度の事で「やる気がある」と見なしても良いのではないでしょうか?
ところが能力の高い人がリーダーになると、普通の人を「怠けている」認定してしまいます。
そして、標準のレベルを自分の水準に上げようとします。
でも、誰もそれに着いて行く事は出来ません。
リーダー自身もいつも怒ってばかりいて、だんだんテンションが下がってしまいます。
リーダーはヒステリックになる、脱落者は頻発するで、しまいにはブラックな職場という雰囲気になってしまうのです。
では、仕事が出来る人をリーダーにする他に、何か良い方法はあるのでしょうか?
リーダーなんて要らない
能力が高い人をリーダーにすると、従業員のメンタルにとって悪影響があるという話をしました。
それだけでなく、せっかく実務能力が高い人に「管理」という不向きな仕事までさせては、肝心のパフォーマンスまで下がってしまいます。
適材適所という言葉がありますが、実務能力が高い人には あくまでも実務に専念してもらった方が良いと思います。
実務と管理は完全に分けて、管理は「マネージャー」を任命すれば良いのです。
マネジメントというのは、ちゃんと学びさえすれば、さほど能力は必要ありません。
むしろ普通の人の方が、出来ない人の気持がわかるので向いています。
そして、マネージャーは一人ではなくサブマネージャーも置く事で、不在による職場の混乱は防止できます。
一人にすべてを集中させるのは、色々な意味でリスクが高いです。
まずは、能力の高い人と、マネージャーと、他のメンバー達との区別します。
そして、それぞれ成果に応じた処遇をしてあげれば、各々の能力に見合ったパフォーマンスを出してくれると思います。
能力と適正を考慮した配置は、従業員のモチベーションを下げない方法として大切な事なのです。