従業員のモチベーションを下げない方法として、業務改善の提案も一つの方法です。
ただ、管理部門で作成した改善提案や、現場のリーダーが独断で行うような業務改善というのは、実際には役に立たない事が多いかもしれません。
それは、改善すべき問題というのは常に「現場」にあるものですが、管理部門や現場の責任者は、現場の従業員から問題点を吸い上げられていないからです。
一方的に管理部門の都合で作った業務改善ばかり押し付けると、従業員のモチベーションは下がってしまいます。
今回は、現場の情報を元にして具体的な改善提案が出来る方法をご紹介します。
問題が解決しない理由
現場の情報というのは、そこで働く従業員が握っているものですよね。
この生の情報を吸い上げなければ、本当の改善につながる業務提案をする事は難しいです。
ところが、ほとんどの従業員は、問題を自分一人で抱えてしまいます。
言ったとしても、せいぜい仲間内でグチを言い合うだけで終わってしまいます。
従業員のほとんどは、何か問題だと思う事があっても、通り過ぎてしまえばそれまでです。
1日の業務をこなす事に疲れてしまい、問題について上司に報告したり、取り組んだりする事なく、そのまま家路についてしまいます。
こうして問題は解決する事なく、同じ問題が繰り返し起こっているのです。
では、この問題をキャッチして、管理部門まで持っていく為にはどうすれば良いのでしょうか?
現場の問題点を吸い上げる方法
労働現場の従業員というのは、いつも問題を抱えているものです。
ところが、よほどの不都合がない限り、自分から責任者に相談する人は本当に少ないんです。
ましてや、言っても責任者が聞く耳を持たないような人では、報告する事もなくなるでしょう。
だけど、試しに従業員を捕まえて、ひとこと聞いてみてください。
「今日一日で、何か気になった事はありませんでしたか?」と・・・
ここで本当に「何もありませんでした」と言える人は、なかなか少ないのではないでしょうか?
それだけ、現場は問題だらけなものです。
現場の社員なりリーダーは、少なくとも仕事が終わる頃くらいに
「お疲れ様でした。今日は何か気になった事ありませんでしたか?」
と、一声かけるくらいの事はした方が良いと思います。
業務が忙しいときなど、常にウェルカムな状態でいるのは難しいかもしれないので・・・
ただ、そういう事を自発的に出来る人は少ないので、残念ながら「業務日誌」などの義務付けが必要になってきます。
リアルなデータに基づく改善提案ができる
現場の責任者が従業員からヒアリングした「業務日誌」は、貴重なデータの宝庫です。
会社の改善ポイントは、全て現場の従業員が握っているからです。
解決できるかどうかは別として、まずはデータを集められるだけ集める事が大切です。
現場のデータが集まれば、管理部門にも問題点が伝わるようになり、有効な改善提案ができます。
業務日誌は責任者が一人で作成すると大変ですが、従業員みんなに聞けば、問題点を集めるのは簡単だと思います。
そして、業務日誌で問題のストックが出来れば、改善提案のネタに困っている管理部門も助かりますよね。
そして従業員は、問題が改善したら助かります。
まとめ
労働の現場では、責任者も「作業」をやらされるので、自分も作業員だと錯覚してしまう人がいますよね。
このちょっとした声掛けは、責任者に「人を管理するのが任務」なのだという自覚を与えるキッカケにもなるかもしれません。
従業員はヒアリングを受ける事で、自分に降りかかる「問題」が単なるグチの種ではなく、会社にとっては宝なのだと知る事が出来ます。
自分が報告した問題が業務提案のネタになり、改善していく様を見れば、会社への貢献度も意識するようになります。
ほとんどの人が、仕事をする動機として、報酬などの損得勘定だけでは満たされない部分を持っていると思います。
「企業や社会の為に役に立つ」という感覚は、社員だけでなく、パートや派遣労働者にも必要です。
そういう従業員に「情報提供」という形のない任務を与える事で、深い所に眠っているモチベーションを呼び覚ます事が出来るのです。