私には、ある日とつぜん管理職に就かされてしまった経験があります。
当時、入社1年目だった私は『コイツなら扱い易い』と思われたのでしょうか?
社内の派閥抗争に巻き込まれて、それまで課長がやっていた仕事を、10年以上勤務する先輩達を差し置いて やらされる事になってしまいました。
正確には管理職になったわけではなく、平社員のままで管理職の仕事をするはめになったのです。
成功すれば未来が約束されていましたが・・・
この記事では、管理職の仕事のやり方が漠然とわからないと思っている人向けに書いてみました。
目次
管理職の仕事って煩雑過ぎない?
管理職の仕事って、そういう立場になってみないと外側から見ているだけでは なかなかわからないものですが、とにかく煩雑です。
複雑とか難しいという事ではなく、作業の種類が多岐に渡っているという事です。
上司に「これこれ、こういう作業をして下さい」と指示されていただけというのも何ともやり甲斐を感じ辛いものですが、自分に与えられている仕事に集中していれば良いというメリットもあるかと思います。
そして管理職にも当然 上司がいますので、仕事を振られる事もありますし、仕事を振る事ができず、自分だけで処理しなければいけない作業なども出てきます。
その作業に集中し始めた瞬間に、急に部下から報告されると、ついつい「後にしてくれ!」と言いたくなります。
しかし そういう時に限って、後回しにする事でその時自分がやっていた作業そのものが不要になるケースなども出てきて、常に頭が混乱状態になるものです。
それまでシングルタスクで良かったのが、急にマルチタスクを要求されるイメージです。
しかも他の部署との連携が要求されます。
私も数ヶ月は眠れなくなった記憶があります。
では、そんな煩雑でカオスな感覚をなんとか秩序ある形で認識して、心理的なストレスを減らす事ってできないんでしょうか?
カオス状態に秩序をもたらすには?
それには一見して煩雑に見える仕事を、シンプルに分類する必要があります。
じつは管理職の仕事は、大きく4つに分類する事が出来るのです。
ここで言う仕事とは、お客さんからの依頼、上司や先輩からの指示、同僚・後輩からの依頼は勿論のこと、自分の中で『こうした方が良いんじゃないか?』などの改善案を思いついた事なども含みます。
つまり、浮かび上がった仕事を4つに分類するという発想が、自分の頭の中でグルグル回る混乱を防いてくれるのです。
さて その4つですが、こんな風にに分類します。
- 1.すぐ出来る仕事
- 2.誰かと調整しなければ出来ない仕事
- 3.自分の都合次第で出来る仕事
- 4.緊急ではないが重要なので保留にしておく仕事
これだけでも感の良い方なら理解できると思いますが、以降、具体的に説明していきます。
『1.すぐ出来る仕事』とは?
『すぐ出来る仕事』の定義は、その作業に取り掛かってから大体2~3分以内で終わる仕事です。
『緊急の仕事』と勘違いしないで下さい。確かに緊急の仕事も含まれますが、一見それほど緊急でも重要そうでもない仕事も2~3分で片付きそうな仕事のことです。
ここに分類した場合は、ただちに実行します。
「えっ?重要そうでない仕事も?」
と思われるかもしれませんが、ポイントは『重要そう……』というこの表現です。
その判断、必ず正しいという確信に到れるでしょうか?
そう、この世に確かな事など何ひとつありません。
この判断を間違うからこそ、後々、窮地に陥るなんて事が起こるのです。
2~3分で終わるならサッサと片付けて、自分の頭のリソースを開放してしまいましょう。
『2.誰かと調整しなければ出来ない仕事』とは?
ここに分類する仕事は、例えば、見積もりを作るにあたって、下請けの見積もりが必要であるとか、何かの結論を出すのに先輩の意見を聞いておく必要あるのに、その先輩が外出中であるなど、ある仕事を完遂させるに当たって自分以外の人の仕事のプロセスが必要な場合です。
場合によっては、2~3人のプロセスが必要になります。
そういう時は、スケジュール帳に記録します。
誰かに振ったあと、確認する日付に『誰々さんに進捗状況を確認』などと記録しておきます。
余裕を見てギリギリのタイムラインの半分くらいに設定しておくと良いでしょう。
「えっ?余裕を取りすぎ?」
いえ、それは甘い甘い・・・あなたが特別な権力でも持っていれば、強制力が働くかもしれませんが ^^;
先輩など容易に「あっ、スマン、スマン忘れてた(*ノω・*)テヘ」とほざくものです。
そういう時は、必ず当の本人に「また確認させて頂きますが、いつ確認すれば良いですか?」と決めてもらいます。
あなたが後輩だった場合、こういうやり取りを2、3回繰り返すことがあると覚悟して予定を立てなければなりません。
本当はタイムラインの半分でも甘いくらいなのです。
そして そういうプロセスを経て、この仕事がこの前の『自分の都合次第で出来る仕事』に分類し直されるわけです。
あとは優先順位のリストの中で移動することになります。
『3.自分の都合次第で出来る仕事』とは?
これは、2~3分以上かかる仕事で、なおかつ誰にも相談する必要がない仕事です。
完全に自分だけでコントロール可能な仕事です。
この場合、重要になってくるのが優先順位という概念です。
優先順位がひと目でわかるように、『A4用紙に仕事の内容をデカデカと書いて、デスクの右上の端に積み上げておく』という事をやっている時期がありました。
この方法は優先順位に関する仕事が全て片付いた場合、デスクの上が綺麗さっぱりの状態になるので、非常に気分良いものです。
ですが、あなたの職場によっては年々コスト削減ということで「社内資料は裏紙を使え」とか、そういう無駄が許されない場合もありそうですね^^
私も途中から、付箋紙に書いてノートに貼り付けていました。
その貼り替えをして優先順位を確認するのです。
でも、さすがに今はワードのアウトライン機能で管理しています。
ソフト、アプリ、ツールは何でも構いません。
私自身は使っていないので何とも言えませんが、GoogleのカレンダーのToDoリストでも十分だと思います。
ここで理解して欲しいことは、既に優先順位が付け終わっているので、他の雑念をシャットアウトして、その仕事に集中していれば良いということです。
誰が何と言ったって最も重要な仕事なのですから・・・
『4.緊急ではないが重要なので保留にしておく仕事』とは?
ここに分類される仕事は、ふと『ここを改善すれば、もっと作業にラクになるのに……』と思い付いたは良いけど、具体的にどうすれば良いのかすぐに分からない仕事です。
なおかつ緊急でもないという仕事です。
私が思うに、こういう思い付きを無駄に垂れ流していることで後々困る事が多い気がします。
ここでは長期的な視点が重要になります。
一見、どこから手を付けたら良いのかわからない仕事でも、時間をかけて調べて行けば意外と解決する問題がほとんどです。
さて、そういう仕事を『いつやるか?』ですが・・・・
それは『暇になった時』です^^;
実は1年を通すと、ポッカリと何もする事がないという幸せな時間があるものです。
そして後々、緊急事態に陥る人ほど このポッカリと空いた時間をボーッと過ごしている気がしてなりません。
この時こそ『保留』と分類されている項目と睨めっこしながら、こういう課題に取り組む時期です。
そして本当に解決した場合、その解決策はそれからずっとあなたの背中を後押ししてくれる事でしょう。
ツールを使う
ここでの説明は、すべてアナログ的に解説しました。
実際には、アプリやツールなどを通してやることになりますが、重要なのは、自分の頭の中で、これら4つに分類して捉えるということです。
ツールなどは時代と共にどんどん便利になって行きますので、一つのツールに縛られずに進歩に合わせて変更して行くべきものだと思います。
ところが仕事の捉え方というのは、時代を経ても普遍的なものだと思いますので、ぜひ理解して あなたの仕事にお役立て下さい。
このメソッドを得た経緯
このパートでは、完全に私ごとになりますが このメソッドを得た経緯について書いてみます。
『こんな状況で生まれたメソッドなら自分に役立てることができるかも!』とモチベーションみたいなものが欲しい方は、読んでみて下さい。
それは私が社会人1年目が終了し、ようやく会社という環境に慣れて これから2年目を迎えるという春に起こりました。
なんと社内の派閥抗争に巻き込まれて、それまで課長をしていた人が飛ばされ、私がいきなり課長クラスの仕事をしなければ ならなくなったのです。
私よりも10年以上も勤務している主任などを追い越しての人事異動でありました。
当然、それまでいた主任たちが面白いわけもなく、まったく社内で味方らしいサポートが期待できないという状況に陥りました。
さらに、いきなり新人の女性社員などもあてがわれ、先輩たちから羨望の眼差しで睨まれる事になります。
ところが私の心境はそれどころではありません。
自分がこれから どんな仕事をすべきか分からないだけでなく、彼女たちに仕事を教えなければならないのです。
小さい会社だったとは言え、売上の90%近くを管理しなければならない状況で「もし私が失敗したら、どうなるのだろう・・・」と考えると、神経が昂ぶって眠れなくなってしまいました。
客先からは「御社の引き継ぎは酷いね」と突き上げられ、社内では先輩たちや同僚からのフォローを受けられず、電車のホームで思わず泣き崩れてしまった事があったほどです。
そんな時、藁をもすがる思いで書店に行き、手にした一冊の書籍がありました。
これがアマゾンで検索しても出て来ないんです・・・。
確か『奇跡の仕事術』という翻訳本だったという記憶があるのですが、探しても見つからない。
これがこの記事を書く動機になっています。
本当は短い記事でオススメ本として紹介して終わりにするつもりでした。
いま考えても「もし、この本に書かれてあったメソッドに巡り会えていなかったら?」と思うとゾッとします。
と思っていたら、いつの間にかありました。古い本なので、1円で売ってますね^^;
苦言
この項目は、こころが強い人だけ読んで下さい。きっと耳が痛い話です。
仕事に漠然とした不安、不満を持っている人は、世の中に沢山いると思います。
まあ、たいていは単に『仕事 やめたい』ってことが多いと思います。
正直、仕事など辞めたければ辞めれば良いと思います。
周りの……つまり自分以外の人の意見なんて関係ないんじゃないでしょうか?
但し、ここに条件があります。
厳しいようですが、この条件が伴っていないと、お先は真っ暗だと思います。
『資格を取っておけ?』とか、そんな野暮な話じゃありません。
それは『あなたが仕事ができる人間になっているか』ということです。
もっと厳しく表現すれば、あなたが辞表を出した時に、上司、先輩、同僚、後輩にどれだけ引き止めてもらえるか?ということです。
少なくともこの条件をクリアしていないと、あなたはただ仕事が出来なくて、周りから頼りにされるどころか厄介者として扱われているので、逃げ出したと思われても仕方がありません。
この記事が、自分自身で『いまは仕事が出来ない』と自覚できている方の助けになれば幸いです。