家族への説得が難しい理由の一つに、どうしても感情を伴わずにはいられない、という事があると思います。

例えば、家族が病気や災難に遭った時などです。

自分自身もショックを受けてしまって、とても説得できるような状態では無くなってしまうと思います。

だけど相手が年老いた親だったり、まだ小さな子供ならどうでしょうか。

家族を支えなければならない立場であったら、自分がしっかりしてあげなくてはなりませんよね。

それにはまず、当事者にとっては厳しい「情報収集」を買って出てあげる必要があると思います。

世の中にはセールスやマーケティング、もしくは上司への説得や部下への叱咤激励など、ビジネス的に説得する技術に関する本や情報などは結構あふれています。

ところが、じつは一番難しいのは自分の家族、親、兄弟、配偶者や子供への説得だったりするんですよね。

この記事では、もっとも説得しづらい身近な人への対応の仕方を説明します。

家族だからできる説得

これは人を説得する上で最も重要な事ですが、家族だからこそ説得しやすい面というのもあります。

一人ひとりの考えは違っても、相手がどういう人間かという事だけは、他人よりも一番よく分かっていますよね。

その情報を上手く利用する事が、家族を説得するためのポイントになります。

人は、それぞれ自分の中にフィクションの「物語」を持って生きています。

それは思い込みや価値観として、人の個性の中に織り込まれている「その人だけの世界観」のようなものです。

他人から見たら妄想のように見えるかもしれませんが、当人にとっては それこそが現実であり、一番大切にしている事なのです。

ところが人を説得する時、多くの人は自分の「物語」に基づいて説得をしてしまいます。
それで大概、失敗に終わってしまうのです。

自分の物語というのは、相手には通用しないものなのです。

たまたま性格や価値観が似ていて成功する事もあるかもしれません。

ところが、意外と家族間では失敗する場合が多いのです。
それは、先程お話した「家族の役割分担」が関係しているような気がします。

では、どうすれば家族を説得する事ができるのでしょうか?

それは「相手の物語」を使って説得をする事です。

相手が義理や人情を重んじる人であれば、義理や人情を使って説得するのです。

経済的な安定を重視する相手なら、安定に根ざした説得をします。

すると相手は、自分で作り出した武器に攻撃される事になります。

なぜなら、それは相手が常に大切にしている事なので、簡単に曲げる事は出来ないのです。

まるで自分に説得されているようで「言われてみれば、そうかもなぁ・・・」という気分になってしまう訳です。

おまけに「自分の物語」で作られた武器で攻撃されてしまうと、最初は反発したとしても、その事を思い出す度に自分の武器が発動してしまう事になります。

自分の物語は、常に自分の中で繰り返されているからです。

家族の間で意見が分かれたときは、感情的になったところで解決するものではありません。

むしろ、お互いの感情をこじらせるばかりだと思います。

それよりも、冷静に相手の物語を使って説得する事を考え、この時ばかりは「自分の物語」は脇へ置いておく事が鍵だと思います。

家族への説得には準備が必要

災難を被った本人はその事態に立ち向かう事で精一杯で、自分自身の事であっても、なかなか調査にまで踏み切れる余裕がありません。

だから自分の考えだけでいきなり説得を始めるよりも、まずは事前に周辺知識を調査してあげれば説得力も増すと思います。

そして情報収集をした上で更に、説得した時に相手がどう切り返してくるだろう?というシミュレーションをしておくのです。

これは実際に説得した時に、思いもよらない反撃をされて、驚いて頭が真っ白になったりしない為の予防策です。

また説得に絶好のタイミングに出会った時に、最も適切な材料を持ち出せるバラエティを持っていれば説得もしやすくなります。

だから、考え得るパターンを出来るだけたくさん試す必要があると思います。

そして、誰かに家族の役をやってもらってディスカッションしたり、手紙を書いてみたりして「練習」を重ねるのです。

それにはまず、とにかく時間を割かなければなりませんよね。

調査したりシミュレーションする為には、どんなに忙しい中でも時間を捻出する事が必須なのです。

意見が割れたら?

もう一つ心理的に辛い場面として、家族の間で意見が分かれる場合があると思います。

いくら家族とはいえ、常に意見が一致するとは限りませんよね。
というか、むしろ分かれる事の方が多いかもしれません。

家族というのは、自然と役割分担として考え方や生き方が分散されている事が多いと思います。

ひとつの家庭の中で、皆が同じような事をやっていたり、同じような考え方をしていると、何か起こった時には全員が共倒れになってしまいますよね。

そうならない為に、家族の一員は少しづつ違った方向に向かっているのだと思います。

だから問題が起こったときや決断を迫られた時など、その選択や方法論について、意見が真っ二つに割れてしまう事も十分に起こりうるのです。

そんな時、意見が違うからと諦めたり説得に失敗してしまうと、家族だけに感情が伴って、それがキッカケで家族がバラバラになってしまう事もよくある事だと思います。

こんな時は、元々どれだけ仲良しだったかという事もあまり関係が無いかもしれません。

家族とはいえ、みんな違った考えを持った存在です。

特に意見が割れた時は「家族だから分かってくれるはずだ」というのは通用しないのです。

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