何か悩みや問題を抱えている時、いくら考えてもモヤモヤするばかりで良いアイデアが浮かばない事ってありますよね。
考えが右に行ったり左に行ったりして、頭がグシャグシャになり、終いには何で悩んでたのかすら分からなくなったりします。
結局は疲れ果てて、問題は先送り状態に・・・。
こんな結末に陥らない為には、常にそれなりの結論を導き出したいものですよね。
そこで今回は、こんな時に使える哲学的な手法「アウフヘーベン」をご紹介します。
このアウフヘーベンには、3つのステップがあります。
ステップ1:思考が堂々巡りしてしまう理由
問題を解決しようとして考えているのに、堂々巡りしているような、論点がボンヤリしている時って、どこか非生産的な、時間の無駄使いをしているような気分になったりしませんか?
ちょうど意見の合わない人同士が、延々と喧嘩でもしているような感じに近いと思います。
実はこれ、問題解決の時にありがちな失敗パターンなんです。
物事を右か左か、黒か白かというふうに問題を「二者択一」的にとらえて、自分の中で二つの意見に割れている状態です。
そして、どちらかに決めるために材料や情報を集めて、天秤にかけているんです。
つまり、自分では自由に考えているようでも、二つの異なる答に限定してしまって、どちらかを「選択」しようとしているだけなのです。
だから、まずは自分がそういう思考に堕ちいてるんだという事に気付いて下さい。
これがアウフヘーベンの「第一ステップ」です。
アウフヘーベンの第一ステップは まず「二択に落とし込む」事であり、選択する事ではありません。
二択に落とし込む事が出来たら、今度は「第二ステップ」へ進むのです。
ステップ2:白黒つけるのがゴールではない
問題を二択に落とし込む事が出来たら、今度はその二択の「争点」を見つけるのが第二ステップです。
異なる二つの選択肢を「テーゼ」と「アンチテーゼ」と呼び、この二つが何を巡って対立しているかを見出すのです。
ここでアウフヘーベンの説明を補足するために一つの例を挙げます。
環境問題で、いま意見が分かれていますよね。
今のところ地球は温暖化しているというのが通説ですが、一方で温暖化否定論という人々の意見が浮上してきています。
これは一見、地球の温暖化の科学的根拠が疑わしいという意見が出て来たため、地球は温暖化しているのか?していないのか?「どちらが真実か?」という議論のように見えます。
確かに、テーマが地球の環境というあまりにも大きな問題なので、現代の科学では説明のつかない事も多いのでしょう。
でも、どうやら争点はそこではないという事に気が付いた人たちがいます。
真の争点は、温暖化を防ぐ為には「人類が原始的な生活に戻らなければならない」とか「エネルギーを節約しなくてはならない」といった、人類が自然と戦い続けて得た「豊かな生活」を守るか、捨てるか?の二択を迫られていたという事です。
温暖化していないとか、人間のせいではない、といった主張が受け入れられる根底には「豊かな生活は捨てられない」という強い思いが秘められているのではないでしょうか。
となると争点は、「地球環境を守る為には、人類はガマンしなければならない」という所へ落ち着きますよね。
ステップ3:答はもう出ている!?
アウフヘーベンの第3ステップは、一番簡単かもしれません。
なぜなら、争点に対してカウンターをとるだけで良いからです。
今回の例でいうと「ガマンしない環境対策」をする事がジンテーゼになります。
温暖化は起こっているか?温暖化が起こる原因は何か?という問題は議論で決める事ではありませんよね。
そこは科学的な分析にまかせて「いかに我慢する事なく環境を守ろうか?」という議論は大いにすべきという結論=「ジンテーゼ」に至ったのです。
これがアウフヘーベンの威力です。
まとめ
アウフヘーベンとは、テーゼとアンチテーゼからジンテーゼを生み出すことを言います。
具体的には何をするのかというと、テーゼとアンチテーゼが対立関係にある争点が何なのかをあぶり出す作業です。
争点がわかれば、ジンテーゼは自ずと見えてきます。
どうやら今までは、アウフヘーベンの第一ステップで いきなり結論を出そうとしていたという事に気付いて頂けたら幸いです。