華々しく大成功している人たちを見ていると「ああいう人は才能があるから自分とは違うんだ」という風に思った事はありませんか?
結局、才能がないから成功できないし、なんだか生き辛いと感じてしまうんですよね。
そこで、本当は自分にも隠れた才能があるのでは?と自分探しをしてみたり「才能をアップさせる方法」みたいな情報に踊らされたあげく、結局何も変わらなかったりします。
ところが、実は成功している人も「生まれつきの才能」でなく「後天的なスキル」で道を切り開いているようです。
スキルというと何だか就職の時に役立つ実務的な能力という感じがしてしまいますが、どの分野でもスキルが無くては仕事にはなりません。
才能は、ただ「ある」だけでは何の役にも立たないものだったんです。
天才だって苦労している
才能というと、芸術関係などはそれ無くしては有り得ないような感じですよね。
例えば、天才画家ピカソのエピソードで、ピカソがまだ子供だった頃に書いた絵を見て、当時画家だったお父さんは絵を断念したんだとか・・・。
そんなピカソですが、ある時ファンから一筆書いて欲しいと頼まれ、サインのようにスラスラっと絵を走り書きしてあげたそうです。
その後の話が有名なのですが、なんとそのファンに1万ドルを請求したのです。
ファンの人が驚いて「だって30秒くらいで書いたものじゃありませんか」と抗議したら、ピカソは「30年と30秒だよ」と答えたそうです。
あの天才ピカソですら、成功するのに30年スキルを磨く必要があったという事なんですね。
プロのレベルに達するには?
まず、仕事にできるレベルのスキルというと何を思い浮かべますか?
職種によっても違うとは思いますが、プロとしては何か特別な「知識」を持っている必要がありますよね。
それには、まず大量のインプットをしなければなりません。
プロの仕事をするには、そのアウトプット以上の大量なインプットが必要です。
赤ん坊が初めてしゃべる時というのは、それまでに大量のボキャブラリーをインプットしているものですよね。
その段階を経てはじめて「言葉を発する」というアウトプットが可能になります。
常にアウトプットして行く為には、それ以上のインプット量が要るのです。
仕事も同じです。
そして仕事で成功する為には、更にアウトプットも大量に出来なければならないわけです。
ただ大量のインプットが必要といっても、お勉強モードになって「暗記マシーン」になれ、という話ではありません。
かといって好きな事や才能がある分野なら、自然に大量のインプットが出来るという訳でもありません。
自分自身で創意工夫して「記憶する方法」を編み出して、試してみるしか無いのです。
才能の正体
以前見た動画で、スタジオジブリの映画プロデューサー鈴木敏夫さんが、宮崎駿さんの才能について面白い話をしていました。
鈴木さんいわく「彼は生まれつきの才能が有るわけでは無い」というのです。
宮崎さんの創作の秘訣は、大量の「人間の動き」や「建物や風景」の記憶が元になっていると話していました。
宮崎さんは若い時、人の「動き」に惹かれたのだそうです。
それも、動きや喋り方が「人によって違う」所がとても気になりました。
女性と男性、若い人と年寄りなど、それぞれの違いによって「しぐさ」や「スピード」が違うという事に取り憑かれたようになったのです。
そして人の動きの観察に夢中になり、いろいろなパターンを記憶したり再現する日々が、確か4年間くらい続いたと言っていました。
他にも、宮崎さんは建物や風景にもこだわりがあり、様々な建築様式にとても詳しかったそうです。
宮崎駿さんの主張に「写生するな、記憶で描け」という言葉がありましたが、この鈴木さんの話と組み合わせて考えると、どうやら情景を写真のように記憶しているのとは違うようです。
彼の頭の中には、様々なパターンやパーツが大量にインプットされていて、それが一つ一つすべて言語化されているのです。
でなければ、せっかくの記憶も「再現」するのは難しいからです。
それも既存の言語では足りなくて、おそらく彼が作った造語のようなものまで有るのではないでしょうか?
宮崎駿さんの、あの独創性に満ちた世界観も、膨大な「既存のデータ」から成り立っているのでした。
鈴木さんはスキルという言葉は使いませんでしたが、この「膨大な記憶」とは、スキルの事に他ならないと思います。